白弧魔記 洛中の火、蒙古の波

洛中の火 (白狐魔記 3)

洛中の火 (白狐魔記 3)

白駒山の仙人の弟子になり、修行して人間に化けることができるようになった狐、白弧魔丸の人間探求物語。
児童文学ではあるが、進められて読んでみると構成がみごとであっという間に読んでしまいました。
随所に筆者の考えが明確に現れているところが楽しい限りです。
例えば、「洛中の火」は南北朝時代の話ですが、後醍醐天皇を頭から否定しています。
時代は鎌倉時代をすごして完全に武士の世の中、にもかかわらず建武の中興と称して昔の天皇制に戻そうとするあたりは時代錯誤もいいところです。
こうしてはっきり書かれるとその通り、と相槌を打ちたくなるのですが、今までできなかったのは、後醍醐の試みがすばらしいことでそれに協力した楠正成は忠臣の中の忠臣という戦前からの教育のせいでしょうか?
現在出ているのは、「源平の風」「蒙古の波」「洛中の火」「戦国の雲」の4冊、さらに続刊がでるようです。
図書館からの借り物ですが、借りたい児童の邪魔にならないよう、他のものも読んでみたいと思います。
蒙古の波 (白狐魔記 2)

蒙古の波 (白狐魔記 2)

ネット株の心理学

ネット株の心理学 (MYCOM新書)

ネット株の心理学 (MYCOM新書)

本書では「行動ファイナンス」という言葉を使っているが、以前読んでがっかりした「行動経済学」と同じ分野の人が書いたものである。
でも、内容は大違い!
株式投資の常識はウソなのです! という言葉から見ても行動ファイナンスという学問に着たいをもたせる内容である。

  • 会社の業績を見極め、良い会社を選んで投資する
  • 優良会社の株を長期保持する
  • デイトレーダはリスクが大きい

これらは、みんなウソ!と看していて、実に痛快です。
真髄は、株式は売ることを考えることが大切、いままでの指南書に売り方は乗ってない、それはわからないやつが書いているから。
買った株を仕入れより高値で買っていただくことはマーケティングである。
株を買ってくれる人の思考を推測するのが、行動ファイナンスである。
業績が良くても株価が上がらない優良企業、占い師が上がると予見したら翌日買いが殺到した某社。
買った人はどうして買う気になったのだろう? ということを考えながら、指標となるものを探してみると、売買高のランキングやナイター取引の買い状況などから垣間見えてくる。
情報はネット上でいくらでも手に入りるが、何を基準に取捨選択するかを本書は教えてくれた。

いきいきロハスライフ!のすごし方

いきいきロハスライフ!のすごし方

いきいきロハスライフ!のすごし方

LOHASとは、
Lifestyle Of Health And Sustainability
自分の健康と地球や社会の持続可能性のどちらにも配慮するライフスタイル
つまり、環境に配慮することは義務感でなく、自分が健康に暮らすためにも大切と認識し、日常生活のなかで実践すること。
具体的には、無農薬野菜を買うと自分の健康と同時に地球環境にも配慮することになる、というようなことです。
ロハス度のチェックリストをやってみました。
<健康ライフスタイル編>

  • 少し(20%)高くてもオーガニックで安全な食材・製品を買う。--->×
  • 健康食品やサプリメントも自分で納得したうえで摂取している。テレビや雑誌の情報を鵜呑みにしない。--->×
  • マイクロビオティック、玄米菜食などを実践している。または、野菜/シーフード中心で、あまり肉食はしない。--->○
  • ヨガ、ピラティス、瞑想などを定期的に行っている。--->×
  • エステ、スパに通ったり、マッサージ、鍼、レイキなどを定期的に受けている。--->×
  • 素材にこだわり、オーガニック・コットン製品などナチュラルな風合いの衣類を好む。--->×
  • ナチュラルな素材の化粧品やバス、ヘアケア製品を好んで使う。--->×
  • アロマセラピー、ハーブ栽培、ガーデニング、家庭菜園などを実施している。--->×
  • 週末や休暇に、できるだけ自然に触れるようにしている。--->×
  • 普段からアートに親しんだり、セミナーなどに参加、コーチングを受けるなど、事故の内面の成長を心がけている。--->×

<サステイナビリティー編>

  • 地球環境、温暖化、貧困などの現状について常日頃情報収集するよう心がけている。--->○
  • 車の燃費を気にして車種を選ぶ。エコドライブを心がけている。ハイブリッドカーに乗っている、または購入したい。--->○
  • エコ、省エネ製品に興味があり、少し高くても(20%)実際に購入している。--->×
  • 風力発電やソーラ発電など自然エネルギーに興味があり、グリーン電力証書などを購入したことがある。--->○
  • 家のリフォームや建築時に自然素材や断熱材にこだわり、エネルギー効率の良い住宅に住んでいる、または住んでみたい。--->○
  • 環境家計簿、二酸化炭素の削減、省エネなどに積極的に取り組んでいる。--->○
  • 選挙のとき、環境問題に熱心に取り組む政治家や政党に投票する。--->×
  • フェアトレード製品を積極的に購入する。--->×
  • 環境活動や飢餓、貧困などに取り組むNPOなどに収入の一定割合を寄付している。
  • 株式投資をする際に、起業のCSR活動に注目する。エコファンド、SRIファンドなどに投資している。--->×

チェックの結果は散々ですが、自分の仕事でもある省エネやコストダウンに関係する部分もあり、少しずつ意識改革をしていきたいと思います。

ゲド戦記

これは本を読んだわけではなく、いきなり話題の映画を見てきました。
一緒に行った友人は以前に読んだことがあるようで、全六巻の長編であり、主人公はゲドであると言ってました。
映画のほうは若い男女が闇を支配する女魔術師をやっつけるヒーロー、ヒロインで、ゲドは助演に徹してます。
さすがにスタジオジブリで、絵もわかりやすいストーリーも期待を裏切るものではありません。
でも、ジブリ作品もずいぶん見たせいか、この場面は「魔女の宅急便」のあのシーンに似ている、これは「千と千尋の」の竜かな、なんて思ってしまいます。
さらに、ストーリーがわかりやすくなったせいか、あれ!この感じ、アンパンマンプリキュアににているような、なんて感じがしました。
まあ、いろいろ気になる点はありますが、さすがにジブリ作品で期待は裏切っていません、あえていえばヒロインのテルが地味かな?
ゲド戦記は6巻の長編です。
これを機に一度読んでみたいと思います。

日本のポップパワー

日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像

日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像

ここで言う「ポップパワー」とは、マンガ、アニメ、ゲームなどで産業界がデフレで元気がない中、秋葉原を中心に勝手に盛り上がっている世界である。
これらの進化は我々昭和30年世代の子どものころを思い返すと隔世の感がある。当時マンガは低次元の娯楽であり、文化にはいたってなかった。そのなかで手塚治虫白土三平が引っ張っていた時代である。
それが現代では世界中から注目され、文芸書に勝るとも劣らない内容のものが多々出版されている。
極端に言えばマンガやアニメの方が内容があって、かつわかりやすいことも多い。
これらを支えているのが、秋葉原を聖地としている、「オタク」である。
そして更なる文化としてメード喫茶などが次々と排出されている。
本書は、スタンフォードの日本センターが分析したものであるが、はっきり言ってつまらない文章である。
分析結果をもとに未来に向けた夢や活力のある方向性が示されるものと期待したが、残念ながら分析をくどくどと書いているにとどまっている。
以前読んだ「ハイコンセプト」のなかで情報の次に来るものは創造力とあったが、ポップパワーはまさに創造力であり、次の時代の日本を引っ張っていくものと期待される。

トヨタ流最強社員の仕事術

トヨタ流最強社員の仕事術 (PHP文庫)

トヨタ流最強社員の仕事術 (PHP文庫)

著者はトヨタ生産方式コンサルタント会社であるカルマン株式会社の社長である。
トヨタの改善関係の指導書はあまたあるが、コンサルタントの自慢話的なものが多く読んでいて面白くない。
この本は、当たり前のことだがなかなかそれができない、という内容を実践例を含めて紹介している。

  • 「汗」を出しすぎるな、知恵が出にくくなる
  • 一行にまとめれば千人を説得できるが、千行をついやせば一人を説得できない
  • すぐやれ、少しずつやれ
  • できることからやる人が、できないことをやれる人
  • 知恵を出すのがうまい人は、知恵を借りるのがうまい人
  • 自分の一分間はケチるな、相手は十分間待たされたと思う
  • 最高の知恵は最初の「なぜ」にある

などなど
いい言葉が沢山出てくる。
でも一番大切なことは、実行すること、これがこの本の根底に流れている改善の本質だと思う。

レンタルお姉さん

レンタルお姉さん

レンタルお姉さん

レンタルお姉さん」というタイトルはどうも誤解しやすい。誤解する自分に問題があるのかもしれないが。。。
引きこもりの処方箋としてお姉さんを派遣する、一体誰がこんな方法を考えたんだと思う。
例えば親から依頼されて、レンタルお姉さんは手紙等で接触をはかり、ある段階で実際に会いに行く。約束していても会えない場合も多い。相手が感情的になり暴力に及ぶこともある。
定期的に面接を重ね、時期を見てNPO主催の寮生活を進める。寮で社会性が出てくれば一般社会へ復帰していく。
レンタルお姉さんの役割は、寮に入れるところまでである。
すごい仕事だな、とつくづく思う。
私にとって引きこもりは甘ったれ、という認識に過ぎない。結局親が甘やかしたということ。でも彼女らは手を差し伸べ、その手を払いのけられてもまた差し伸べている。とてもまねのできない行為に尊敬の念を抱いている。
文中に、50歳を超えた引きこもり男性がいた。勉強に忙しい、私のやっていることはそのうち大々的に発表される。こいつだけには腹が立った、年老いた親に食事等を頼っているくせに、その年で引きこもりとは情けない限りである。
ともあれ、レンタルお姉さんの慈愛にエールを送りたい。